平成24年は相続放棄の依頼が多かったように感じました。
全体の相続放棄の申立て件数は、どうなっているのか調べてみたら、
次のような件数でした。
平成元年 43,626件
2年 43,280件
3年 45,884件
4年 50,946件
5年 58,490件
6年 58,794件
7年 62,603件
8年 66,898件
9年 73,462件
10年 83,316件
11年 98,546件
12年 104,502件
13年 109,730件
14年 123,038件
15年 140,236件
16年 141,477件
17年 149,375件
18年 149,514件
19年 150,049件
20年 148,526件
21年 156,419件
10年前の2倍、20年前の4倍です。すごい伸び率ですね。
相続放棄申述は、被相続人(亡くなった人)に多額の借金(債務)があるような場合に、
利用されていると思います。
相続放棄を家庭裁判所に申述するには、
自分が法定単純承認をしていないことが大切です。
うっかり相続財産の全部又は一部を処分したときには、
単純承認をしたものとみなされてしまうので、
相続放棄申述をできなくなり
(家庭裁判所で申述が受理されても債権者から申述が無効と主張されることもある)、
相続人は自分が相続債務を支払わないと言えなくなってしまいます。
法定単純承認の効果が生じるような相続財産の処分は、
(最判昭和42年4月27日判決)によると、
相続人が自己のために相続を開始した事実を知りながら相続財産を処分したか、
または少なくとも相続人が被相続人の死亡した事実を確実に予想しながら
あえてその処分をしたことを要する
とされています。
つまり、被相続人死亡の事実を知らずに使ってしまった場合は
法定単純承認には当たらないことになります。
被相続人の借金を相続人が支払った場合に単純承認とみなされるかどうかについては、
債務の弁済自体は処分ではないので、
これにはあたらないと考えられているようです。
ただし、借金の返済に充てるお金を相続財産から支払っているような場合は
相続財産の処分にあたってしまいます。
3か月という相続放棄の熟慮期間中に被相続人の借金を支払うような場合は、
相続放棄をすることもできるように、
相続人自身の現金や預金から弁済をした方が良いかもしれません。