株券を発行する旨の定めの廃止の登記の依頼を受けました。
依頼者は,会社の履歴事項証明書を取得したところ,「株券を発行する旨の定め」欄に,「当会社の株式については,株券を発行する」と記載されているの見て,株券を印刷して株主に渡さなければいけないのかとあわてたようでした。
株式譲渡制限の規定のある会社でしたから,株主から請求があるまでは株券を発行しないことが出来る旨を伝えたところ安心してくれました。
株券を発行する旨の定めの廃止の手続について説明し登記手続の依頼を受けました。
そもそも,旧商法では株式会社は株券を発行するのが原則でした。
ところが,平成18年5月に施行された会社法では株券不発行が原則となりました。
原則が逆転したわけです。
そこで,平成18年5月以前からある既存の株式会社は株券を発行しないという登記がされていない限り,株券を発行する会社ということになりますから,会社法施行に伴い会社登記簿に登記所の職権で株券を発行する旨の定めの登記がされました。
株券を全く発行していない会社の場合の株券を発行する旨の定めの廃止の登記は,次のとおりです。
①株券を発行する旨の定款の定めの廃止の効力発生日を決定する。
②効力発生日の2週間前までに,株主及び登録質権者に通知する。
③株主総会を開催して,株券を発行する旨の定めを廃止する旨の定款変更決議をする。
④登記申請をする。