全国青年司法書士協議会の主催の,平成20年3月1日から
全面的に施行される犯罪収益移転防止法の研修会が
平成20年2月9日に行われました。
犯罪収益移転防止法の目的
犯罪による収益が組織的な犯罪を助長するために使用されて,
これが移転して事業活動に用いられることによって
健全な経済活動に重大な影響を与えること,また犯罪被害の回復に
充てることを困難にすることから,犯罪による収益の移転を防止する
ことが重要である。
このため,「特定事業者」は①顧客等の本人確認と②取引記録等の
保存と③疑わしい取引の届出等の措置を講ずることで国民生活の
安全と平穏を確保するとともに,経済活動の健全な発展に寄与する
ことを目的とする。
司法書士は上記の「特定事業者」の対象となり,
①本人確認義務・本人確認記録の作成及び保存義務と
②取引記録の作成及び保存義務が生じるようになります。
上記①本人確認義務及び本人確認記録の作成,保存義務について
本人確認の特定事項は,
自然人である場合は氏名,住居(住所ではない),生年月日
法人の場合は名称,本店又は主たる事務所となります。
本人確認の方法と確認する書類は,司法書士が顧客と対面することが
基本となり,顧客から運転免許証などの提示をしてもらうこととなります。
本人確認記録の作成と保存
本人確認後直ちに,本人特定事項,本人確認のためにとった措置など
の記録を作成して,7年間保存します。
上記②取引記録の作成,保存義務について
少額な事件を除いて,特定受任行為の代理等(宅地・建物の売買に
関する登記の代理など)を行った場合は,特定受任行為の代理等を
行った日,その内容,その他事項に関する記録を作成して,7年間
保存します。
司法書士の本人確認に関して
今までも,司法書士は「人・物・意思」の確認を,特に不動産取引業務
の中では行っていました。
犯罪収益移転防止法の施行によって,司法書士に改めて,本人確認が
義務化されたものではありません。
今後は,本人確認の方法や記録の保存方法が犯罪収益移転防止法の
施行に伴い,司法書士会の会則変更などによって,具体的にどのように
行うかが規定されることと思います。
当職は,今後も変わりなく業務を行い,本人確認を行っていきます。