2009年7月20日の全国商工新聞の記事に
「差押禁止財産と知りながら執行」
「鳥取県は児童手当13万円を返せ」
とありました。
ここ最近は自治体の税収が少なくなっているのか,
すぐに差押えがきます。
固定資産税などの納付が数ヶ月遅れ,
税務課との支払の協議がうまくいかないと
突然
「不動産差押え」
「預金口座差押え」
「給料差押え」
がされます。
(市町村によって,少し温度差がありますが,注意してください。
税金の滞納がある方は早めに税務課に行き,分割納付の協議をしてください。)
話は戻りますが,
上記の新聞の記事の場合は,
児童手当が預金口座に振り込まれた直後に,
県税事務所に差押えられたということです。
当然預金口座は0円になってしまい,生活費に苦慮することになった。
多くあるのは,
差押禁止債権の年金が預金口座に振り込まれるとすぐに
差押えられて,年金生活者は生活費がなくなってしまったというケース。
何が問題となるかというと,
「児童手当」
「年金」
「生活保護費」等は,
差押禁止債権なんです。
なのになんで差押えられるの?ってことです。
上記の「話は戻ますが」からを見てください,
どこにも「児童手当」「年金」が差し押さえられたとは書いていないですよね。
預金口座に振り込まれた後に預金口座が差押えられたのです。
つまり
「児童手当」「年金」などが預金口座に振り込まれると
そのお金は「児童手当」「年金」ではなくなり,
「預金債権」になってしまう。
振り込まれると種類が変わってしまって,
差押禁止債権ではなくなってしまうのです。
最高裁平成10年2月10日判決では,
差押禁止債権が受給者の預金口座に振り込まれ預金債権となると
差押禁止債権としての属性は承継しないとして,
差押禁止債権が転化した預金債権に対して差押えや相殺を認めるとしています。
たしかに税金を滞納することはよくないことだとは思う。
強制的に税金を徴収することも必要なときもあるでしょう。
だけど,預金口座には年金しか入っていないことを知っていて,
その預金口座を差押えするということは,許されるのだろうか?
上記の最高裁判例を悪用しているだけではないのでしょうか。
2ヶ月に一度給付される年金が入ってこなかったら
タンス預金などがなかったら,
どのようにして老人は生活していくのですか?